顕微鏡の誕生と歯虫
1590年に顕微鏡が開発され、歯の解剖学も長足の進歩を遂げることになります。こうして、古代バビロニアにおいて神頼みの歯科治療が行われるようになってから、3600年もの月日を経て、ようやく歯科学も今日に繋がるスタートラインに立ち、いよいよ美容整形に繋がる方向性も見えてこようか――と思いたいところなのですが、しかしながら、実は顕微鏡の登場をもってしても、歯虫に止めを刺すことは叶いませんでした。デンマークの解剖学者であるヤコバエンは、患者が痛みを訴える歯に穴を開けたところ、歯虫の存在を確認したと言っています。これもおそらくは神経を虫と見間違えてしまったのでしょう。
美容整形・審美歯科の源流:近代歯科学の誕生
近世外科学の父と呼ばれるフランスのアンブロワーズ・パレは、すなわち美容整形の歴史にも大きく関与している人物であると言えますが、外科学のみならず歯科学などの発展にも大きく寄与し、彼の記した教科書の中には、歯の解剖や、抜歯、歯の破壊などなど、今日では歯科にカテゴライズされる様々な施術や知識についての項目がありました。そして18世紀前半、ピエール・フォシャールの登場によって、近代歯科学が確立されます。歯科治療の創始者であると言われているフォシャールが1728年に著した「外科歯科医」は出版後あっという間にフランス中の歯科医と外科医にとってのバイブルとなり、歯科学の進歩に大きな貢献をしました。「外科歯科医」がいかに素晴らしいものであったのかということを物語るエピソードとして、増補改訂された第二版が出版された1746年からちょうど200年後の1946年に、イギリスのリリアン・リンゼイの訳によって英訳版が出版されたという驚くべき出来事があります。